紐づくり2(紐の構造と使い勝手)

紐の構造も様々ですが、さて、新聞紙を束ねるとしたらどれを選びますか?
紐の構造も様々ですが、さて、新聞紙を束ねるとしたらどれを選びますか?

本格的に作り始める前に、あと一つ申し上げたいことがあります。

(前置きが長くて申し訳ありません。)

 

それは、「紐の構造」です。

 

私個人の考えですが、日常生活に使用するにせよ、

何かしらの「モノ作り」をするにせよ、

 

この「紐の構造」と更に「使い勝手」を

意識するようなことは、多少なりともあるものです。

 


例えば、新聞紙を束ねるとして、

皆さんは、どのような紐を使いますか?

 

私は100円ショップに売られている「ビニール紐」を使用しますが、

その「ビニール紐」も、特に「撚り」のかかっていない物を選んでいます。

 

なぜなら、束ねてそのまま引き取ってもらうだけのために、

所定の場所まで(短距離)

移動させる事のみが目的だからです。

 

これが、さらに重みのある、しかも「長距離」移動であれば、

話は変わってきますよね。

 

しっかりと撚りが掛かり、ある程度強度のあるモノを求めるでしょう。

 

 

さらには、その移動させる対象物の重さが、体に負担とならないように、

持ち手に加工をしたり、様々な工夫をすると思います。

労力と、時間、手間が掛かりますね

 

旅行先で、荷物が多くなりすぎたので、何気なく購入したリュック。
旅行先で、荷物が多くなりすぎたので、何気なく購入したリュック。
適当に買ったので気づかなかったのですが、肩の所が、紐一本でした。
適当に買ったので気づかなかったのですが、肩の所が、紐一本でした。
それなのに、下の部分はしっかりと編み込まれています。
それなのに、下の部分はしっかりと編み込まれています。
肩から、リュックまでの距離も長く、少しの荷物を入れただけで、肩に食い込み、とても痛い思いをしました。あまりにもその時の思い出が強烈でしたので、反面教師的に取ってあります。
肩から、リュックまでの距離も長く、少しの荷物を入れただけで、肩に食い込み、とても痛い思いをしました。あまりにもその時の思い出が強烈でしたので、反面教師的に取ってあります。

このように、目的に応じた、

更には、目的に程よい構造の、

適度な品物(この場合は「紐」)を求めていく。

 

これは、その紐そのものの構造を知らなければ、

なかなか見出すことはできないと思っています…。

 


と、いう事ですので、(経験不足ではありますが、)

 

 

「紐」の構造を改めて記して、

「紐」について再確認したいと思います。

 


 

「紐」を、国語辞典で改めて調べてみました。

硬い印象の辞書も、くだけた俗語も表記してくださいますが、

今回は、俗語以外の表記のみを、参照させて頂きたいと存じます。

 

物を、結び、束ねるため、布、紙、皮などで細長く作ったもの。

 糸よりも太く、綱よりも細い

 

角川書店さんの数十年前の辞書ですが、とても興味深い一文だと感心しました。

(改めて、「目から鱗」状態でした)

 

 

まず、第一に「紐」というものが、

 

結び、束ねられなければ意味がない

 

と、はっきり明記されているからです。(大事なことですね)

 

「紐が、紐として、(紐の役目を適度に労力少なく)果たす事」

 

 

 

これには、

目的がある対象物を、目的達成のために、

(綱じゃ太すぎるし、糸では細すぎるのですね)

 

という意味も含まれていると思います。

 

 

結び、束ねられなければ意味がない

 

けれども、

 

どのように作るのが合理的か

(太すぎず、細すぎず)

 

そのために、

 

「布、紙、皮 などで、細長く作ったもの

 

それが、「紐」なのですね。

 


アウトドアに興味のある方なら、ご存知でしょうが、

この、

 

 

結べるか、結べないか

 

 

 

タープというモノを、簡易テントとして活用するには

とても大切なことだったりします。

 

居住性を高めるためにも、

必要不可欠なものではないかと思っています。

丸いビーズを使って、はと目やループが無くても、タープの至る所で紐を結び付けることが出来ます。(巻き結びをしています)
丸いビーズを使って、はと目やループが無くても、タープの至る所で紐を結び付けることが出来ます。(巻き結びをしています)
天井と、側面から結び付けて引っ張ることが出来れば、タープという簡易テントも、中の空間が広くなります。
天井と、側面から結び付けて引っ張ることが出来れば、タープという簡易テントも、中の空間が広くなります。

私は、デニール数の少ない薄手の長方形の布を使っていますが、

(30デニールです。)

 

 

 

果敢にも、ブルーシートでタープ泊を試みている方がいらっしゃいます。

(この張り方も、その方を参考にさせて頂きました。)

 

 

詳しくは、こちらの動画をご覧ください。

 

 

始めにブルーシートタープ泊を知ったのは、こちらの動画です。

あわせてご覧下さい。

 


それでは、「紐」にはどのような構造があるか、調べてみますと、

 

・三つよりロープ

・編みロープ

 

 

この二つに大まかに分かれるようです。

 

                                                                                                   [ 「実作業(実際に作ってみて その1」にもどる

 

 

上が「三つよりロープ」(例の反面教師の肩紐です。改めて見ると、綺麗な撚りのかかった紐ですね。痛かったですが・・・・・・・)下が「編みロープ」です。
上が「三つよりロープ」(例の反面教師の肩紐です。改めて見ると、綺麗な撚りのかかった紐ですね。痛かったですが・・・・・・・)下が「編みロープ」です。

正直、「ロープワーク」という事を意識するまでは、

「紐」について、

さらには、「構造」について、「目的」について具体的に

考えることはなかったのですが、

 

昔から、繊維を糸にして、それで様々なモノ作り等をして経験したことを

(主に失敗した経験…)を思い返してみると、

 

 

「新聞紙の束を、束ねられる適度な太さで、結ぶことが出来て、

 持ち上げ、運べるくらいの強度があれば。」

 

 

これを「紐」に対して、日常生活において最低限、

皆さんが求めている事だと思いました。

 

 

 

 

ここからは、ロープワークについての本

 

 

 ナツメ社

 

オールカラー! 早わかり

紐とロープの結び方

 

               小暮 幹雄 著

 

 

 

を参照させていただきます。


「三つよりロープ」は、

前にもお話ししました、今現在、私が使用している

ペンダントの紐のような構造です。

 

 

繊維を撚り合わせて糸にしたもの」を三つ使って、

更に撚り合わせた構造となっています。

 

強度が高く伸びにくい(まさに束ねるのに最適)

 

 

 

半面、やや硬くて、よじれ(キンク)

生じやすいという欠点もあるそうです。

(まるで、撚りのかかりすぎた、私の作る糸のようです。)

 

「三つよりロープ」を輪を残したまま引っ張ると、輪がそのまま残り一番下のロープのまま輪が固定されてしまいます。
「三つよりロープ」を輪を残したまま引っ張ると、輪がそのまま残り一番下のロープのまま輪が固定されてしまいます。
固定された、輪の捻りがそのまま残り、紐に変形が生じます。
固定された、輪の捻りがそのまま残り、紐に変形が生じます。

キンクは、一度できてしまうと、強度が極端に落ちるそうなので

注意しなければなりませんね。

 


対して、「編みロープ」は、

繊維を撚り合わせた糸を編んだものです。

 

 

「三つよりロープ」と比べると、柔らかくて作業がし易く、

よじれ(キンク)が起きにくいそうです。

 

扱いやすいのですが、やはりニットという事もあるのでしょう、

伸びやすく、そして、強度は「三つよりロープ」より劣るそうです。

 


それでは、この二つのロープのどちらが良いのか?

 

それは、その使う時の目的あっての事なので、

一概に、これが良い悪いではないと思っています。

 

「新聞紙の束を作るのに何が良いのか?」

 

 

 

皆、誰しも、無意識に束ねている

ビニール紐(ポリプロピレン)にも、

長所や短所があるように、

 

「三つよりロープ」「編みロープ」共に、

長所や短所があります。

 

それをきちんと理解したうえで、

 

 

状況に応じて、選んで使いこなす。

…そんな風になりたいです(まだムリですが…)

 


そしてここで、

 

天然繊維の中で、強度が最大という「麻」と、

PP(ポリプロピレン)

 

 

この2つの 

強度を比較してみたいと思います。

 


※どちらも共に、引張強度です。

 

 

麻  乾燥…5.7

   湿潤…6.8

 

PP    乾燥、湿潤共に…4.0~6.6

 

こうしてみると、麻もかなり丈夫ですが、

ある程度の長さで、つなぎ合わせなければならないステープルの麻と、

 

どんどん長くフィラメントを作り出せるPPを比べると、

結び目のないPPの強度は、

紐として、撚りを掛けなくても

とても強度が強いのだと思いました。

 

だからなのでしょう。

 

 

撚りのかかっていないビニール紐が、

ちゃんと新聞紙の束を持ち上げられるという事は。

 

 

そして、そのことに気づくことも出来たら

手作りとは?について、

次の事も、考えられるのかもしれませんね。

 

ブレスレットとチョーカーですが、解くと、3.6m(ブレスレット)5m(チョーカー)の長さがあります。
ブレスレットとチョーカーですが、解くと、3.6m(ブレスレット)5m(チョーカー)の長さがあります。

※因みに、紐は結べるところまでが役目ですので、

 体に負担の無いように持ち上げ、運ぶには、もう一工夫した方が良いみたいです。

(例の、適当に買ったリュックの例もありますので。)

 

 

紐に、それ以上、さらに役目以上を求めるのは、

やはり今までの経験上、厳しい事と思います。

 

 

私は、新聞紙の束を持ち上げ、運ぶために、このようなものを使っています。

「結ぶための紐の役割」の先を考える事だけでも、次のステップへのヒントになるかもしれませんね。
「結ぶための紐の役割」の先を考える事だけでも、次のステップへのヒントになるかもしれませんね。