下準備その1(精練、漂白)

「精練、漂白」に使うものも、日常生活で使うものばかりです。
「精練、漂白」に使うものも、日常生活で使うものばかりです。

(写真左下から 時計回りに)

 

染色用ボウル(ステンレスだと直火にかけられます)と固形石鹸

染色用ステンレス鍋

ゴム手袋

染色対象物(今回は木綿糸)

洗濯ネット

染色用はし

石鹸を削る小刀やカッター

※毎日、食器用洗剤で食器を洗っている事が多いかと思いますので、気にしないのであれば、毎日使っている箸や鍋で良いと思います。


一言でいうと、「洗濯」です。  

 日頃行っている「洗濯」を少し変えたものです。

 

 

それでは、何が違うのか?

 

それは、日頃行っている

「洗濯」が、「着衣の後の汚れを取り除くこと」

に対して、

 

染色のための下準備の

「精練、漂白」が、「染まりやすくする事を目的としたものである」

ということです。

 

 

染色する糸や布は、様々な経過を経て、皆さんの手に渡ります。

 

そのため、表面には様々な汚れや、
繊維そのものの性質として、染色するには不適切な成分が付着している状態なのです。

 それらを取り除き、染まりやすくするために行うのが、「精練、漂白」です。

 

 

 

であれば、「日頃使っている洗剤でお洗濯」と行きたいところですが、

 洗剤の中には、蛍光剤etc.…の様々な成分が含まれています。

 

染色を「なるべく、その素材の色を生かした染め方にしたい。」

という方には、「純せっけん」「固形石鹸」をお勧めします。

 

 

※)石鹸の「鹸」とは、「アルカリ」という意味です。

シルクやウールなどのたんぱく質を含む繊維には、

アルカリは、たんぱく質を破壊するので、お勧めしません。

 

                                                                                              【「  紫に染める」にもどる

                       

「中性洗剤」をお勧めします。

(冬のご自分の手荒れも、もしかすると、このアルカリ成分が原因かもしれません)

 

考え方の一つとして、シルクやウールを普通の洗剤で洗うということは、

シャンプーをした後、リンスをしないまま放置した髪の毛…

という感じかもしれません。

 

(シャンプーをした後リンスをするということは、

髪の毛のPHをアルカリから中性の方向へ変化させる事です)

 

                       【「紐づくり(様々な糸をどこに使うか)」に もどる


折角「精練、漂白」を行うのであれば、なるべく石鹸の効果を生かしたいものです。

 

そこで、わたしが活用しているのが、イオン交換能のある

 

ゼオライト(沸石)」です。

 

水には、軟水と硬水がありますが、どちらが洗濯効果があるかといいますと、


軟水です。

 

ゼオライトです。熱帯魚(淡水)の中には、シクリッドなどの硬水を好む魚もいますが、大抵は、軟水を好む魚が多いので、水質改善に使用されています。
ゼオライトです。熱帯魚(淡水)の中には、シクリッドなどの硬水を好む魚もいますが、大抵は、軟水を好む魚が多いので、水質改善に使用されています。

硬水とは、水の中に、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、炭酸イオン、重炭酸イオン、硫酸イオンなどが多く含まれていることを言います。

 

これらが多いと石鹸の泡立ちが悪くなり、洗浄力が減ります。

 

ゼオライトは、水の中のマグネシウムイオンや、カルシウムイオンを、
ゼオライト中のナトリウムイオンと置き換えて、水の硬度を下げる効果があります。

 

 

通常市販されている衣料用洗剤に、軟水にする成分は、元々含まれていますが、

今回は純せっけんを使用しますので、
別に、水質軟化剤として使用しました、


あまり聞きなれない物ですが、私は、熱帯魚売り場のあるホームセンターで購入しました。
水槽内の水質改善に利用されています。

(最近、100円ショップの園芸コーナーでも見かけるようになりました)

 

 

 勿論、ご自宅に「炭酸ナトリウム=ソーダ灰(Na₂Co₃)」があれば、それを使って頂いて構いません。
量は、染色対象物の重さの3%です。

 


具体的なやり方

①前日にゼオライトを水の中に入れて、水質を軟水に調整しておく。

「沸石」というだけあって、水に入れた途端、プクプクと石から泡が出てくる。

②糸をカセにして、一か所八の字にカセに巻き付けた別糸と、糸の始めと終わりを結び付け、2~3か所別糸で、所々八の字に絡ませて結ぶ。

洗濯ネットに入れる。

③糸の重量の1.2%の石鹸を小刀で削る。

少量の水を加えて、直火で石鹸を溶かす。


④溶かした石鹸水と、糸が十分に浸るくらいの水を、鍋に加えて、ネットに入った糸を入れて点火。

始めは強めの火力で、小まめに天地返しをする。

⑤沸騰後、火を弱めてふたを少しずらしてセットする。

トータル30分。

途中15分で、一度天地返しをする。

⑥コンロから引き上げ、水道水で濯いで石鹸成分を洗い流す。

絞って軽く水切りをする。


⑦洗濯機に輪の状態で入れて、

一緒に洗濯ネットも入れる。

脱水のみ行う。

⑧しっかりと干す。

※糸のカセですが、ご自宅に

座繰りや、トンボがあればいいのですが、ない場合は、四つ足の

椅子をひっくり返して、糸を輪の状態に巻き直して下さい。

 

巻き始めと巻き終わりの糸を、後で結びつけるので、しっかり始めと終わりを、

確認できる状態にすることが肝要です。

 

巻き始めと、巻き終わりの糸を結んで、②の八の字の別糸と結び付ければ、後で処理しやすくなります。

 



こちらが、座繰りとトンボです。

(手前が座繰りです)

 

座繰りを作るのは構造上難しいと思いますが、

奥にあるトンボは、

ご自分でホームセンターにある材料を見繕って

手作りしてもいいと思います。

 

(因みに私は自分で作ってみました…)

一寸、ガタつきますが、短めの糸玉なら全然支障ないと思っています。

 

 

 

 

 

カセ上げした糸の、始めと終わりと、

②の八の字にした絡まり防止の別糸を

全て一緒に結び付けます。

このことにより、糸の始めと終わりがずれることなく安定します。

 

カセ上げした糸は、染まりが良くなるようにと、毛糸玉の状態と違い糸の表面積が広くなるため、絡まりやすいのです。

 

絡まり防止と、後で糸玉に戻すことを考えながらカセを取り扱う意識も、非常に大切かと思います。