紫に染める(藍の性質を理解)

左側は、木綿の手紡ぎ糸、右側は、藍染をした後で、藍の紫染めの重ね染めをしました。
左側は、木綿の手紡ぎ糸、右側は、藍染をした後で、藍の紫染めの重ね染めをしました。

媒染の時に、ナスや、ラディッシュや茗荷の色の変色を防ぐ事について表記しましたが、

 そんな時に、ふっと、思い出したことがあります。

 それが、今回の染色に使用されている、

 

藍の紫染めです。

 

皆さんも、図画の授業の時、絵の具の色を混ぜ合わせたことがあるかと思いますが、

紫は、何色を混ぜれば出来るでしょう?

 

そう、青と赤ですね。

 

ジーンズでお馴染みの「藍」といえば、大抵の人は、青色をイメージされる事と思いますが、

 

実は、赤みを増して、紫にも染めることが出来るのです。

 

 

…でも、実は、最近まで試したことはありませんでした。

下準備にアルカリ液に浸けなければならなかったり、

 

藍の葉を酵素の力で変化させなければならない 

などの、

様々な下準備に気後れしていたのです。

 

しかし、最近調べてみたところ、

下準備のアルカリ処理を行わなくても紫に染めることが出来る

というサイトを発見しました‼

 

しかも、焙煎剤などの、様々な金属イオンを使わずにです。

 これは、試してみずにはいられません‼

 

具体的な方法はその方のリンクを張らせていただくとして、

 

具体的な、藍についてのお話から…

                             [「混ぜる(フォローMix.Ver)」にもどる]

 


藍の色について

皆さんは、藍の青色のことを「インディゴ」という事をご存知かと思います。

藍染めのことを、別名「インディゴ染め」と呼ぶことでもよく知られていることです。

 

では、このインディゴとはいったい何でしょうか?

 

「藍の葉っぱに含まれているもの」

そう考える方が多いかと思いますが、

それは、半分当たり」という感覚で考えて頂ければいいかと思います。

実は、藍の葉に含まれているのはインディゴではないのです。

別の成分が含まれていて、それが何度か化学反応を起こして

やっとインディゴになります。

 

 

始めの成分は「インジカン」と言います。

実は、「インジカン」の状態では、染めることが出来ません。

そこで、この「インジカン」を加水分解して、

酵素の力を借りて、別の物質に変える必要があります。

 

こうしてできるものを「インドキシル」と言います。

 

この「インドキシル」を空気酸化させることによって

「インディゴ」へと変化し、染めることが出来るのです。

 

 

「焙煎しても、鮮度を保つには?」でお話しした、

コーヒーの劣化の要因である「酸化」が、

藍染めに関しては、青色を出すための大切な役割を果たしています。 

こちらの画像は、

 

藍の葉をカラカラに干からびさせたものに、

しっとり湿るくらいの水を含ませ、かき混ぜたものです。

 

ほんのり青み掛かっているのが、判ると思います。

 

水を含ませて、化学変化を行います。(加水分解)

 

 

左の画像のものを、

3から4日おきに水を加え、かき混ぜ続けること100日

たちますと、

 

上の画像のように、少しずつ発酵していき、

 

葉が団子状に固まったものに変化するのが、判ると思います。

 

これを「すくも」と言います。

 

「インジカン」から「インドキシル」へと変化し、酸化していきます。



上の写真のように、干した(保存のきく)藍の葉を「すくも」にしてから藍建てを行う方法の他に、

藍の葉が新鮮なうちに水を加えて染める「生葉染め」の方法がありますが、

 

どちらも後に、酸化させることによって、

 

「インドキシル」から「インディゴ」へと変化させて、

更に、インディゴを染色に適した状態に変化させ、

(染色のためには、インディゴも非親水性から、親水性へと変化させる必要があります。)

あの独特の青い色に染めるのです。

ただ、このインドキシルは、100%インディゴに変化するのではありません。

 

全体の5%ほどは、別の、

 

インジルビン(インディゴレッド)や

インディゴブラウン

 

へと変化します。

 

そしてこの5%の中のインジルビン(インディゴレッド)が、赤色の色素です。

この色素が、

紫染めになる要素を含んでいます。

 

前にも申し上げました通り、青と赤が混ぜ合わされることによって

紫色に染まりますが、

 

それは、このたった5パーセントしか含まれていない

インジルビン(インディゴレッド)を上手く引き出すことによって、

成立するものなのです。

 


その、インジルビン(インディゴレッド)を引き出すためには、

 

 

①アルカリ溶液に浸ける

②高温で煮出す

 

 

という方法がありますが、

アルカリは、たんぱく質を破壊する性質がありますので、

シルクやウールのダメージが心配です。

(アルカリ溶液を準備するのも手間ですし…)

 

と、いうことで、今回の参考にさせて頂いた方法は、②の方法です。

 

具体的に表記はしませんが、サイトのリンクを張っておきますので、

興味のある方は、参考になさってください。

 

今回はサイトを参考にしながらやってみたことを、

フォトギャラリーの形で表記してみました。

 


やってみた結果(フォトギャラリーver.)

画像をクリックすると、拡大します

                                  【「素材選び」にもどる