糸づくり2(実践編)

ハンドルを後ろに回すと、先端のツムの部分が前側に回転します。必然的に糸は後ろ側に回転します。因みに、ツムはグリム童話の「眠れる森の美女」のお姫様が刺されて、眠りに落ちた箇所です。
ハンドルを後ろに回すと、先端のツムの部分が前側に回転します。必然的に糸は後ろ側に回転します。因みに、ツムはグリム童話の「眠れる森の美女」のお姫様が刺されて、眠りに落ちた箇所です。
判り易いように、100円ショップにあるビニール紐(撚りの無い物)で撚りかけしてみました。S字になってますね。
判り易いように、100円ショップにあるビニール紐(撚りの無い物)で撚りかけしてみました。S字になってますね。

前回申し上げました、糸づくりの二種類の方法、

これらは、効率性を考えますと、

 

(効率を考えなければ、スピンドルを使うなど、構造がもう少し簡単な方法もあります。が、)

 

 

通常、糸車(ぶんぶん)が無ければ、

「撚り」を作ることが出来ません。

 

本当に、興味を持って糸車を購入していただけると嬉しいのですが、

 

始めは、市販の糸で染色のみをチャレンジされるのが良いと思います。

 


 

(果敢にも、糸車でなく、手で「撚り」を作って糸にして、

 更に、それを料理に活用している人がいます。 動画は、こちらをご覧ください。)

 


ただ、torinikucoffee的に、

 

「こうすれば、糸は自分で作ることが出来る」

を、ご紹介する目的で、

 

今回は、お話しを進めていきたいと思います。

 


前々回で、今回使用する手紡ぎの糸は二種類と申し上げました。

 

一つは、手紡ぎの木綿糸・・・・・①

一つは、手紡ぎの苧麻の糸・・・・②

 

です。

 

二つとも、「手紡ぎ」の糸なら、作り方は全く同じなのでは?

と思うと、そうではないのです。

 

前回も申し上げましたが、

 

①は、糸を作る前はこのような状態です。

こちらは原毛ですが、木綿の綿もこんな感じです。
こちらは原毛ですが、木綿の綿もこんな感じです。

 

そして、

 

②は、糸を作る前はこのような状態です。

 

まるで100円ショップの、ビニール紐のようです。ビニール紐で糸車の回す練習が出来そうですね。
まるで100円ショップの、ビニール紐のようです。ビニール紐で糸車の回す練習が出来そうですね。

つまり、

 

①は、綿状

②は、縦長の幅広のリボンの様な状態

 

という外観です。

 


工程として考えますと、

どこまで大基から作り始めるかで、

糸にするまでの工程数が違いますので、

 

大基から始めようとすればするほど、

仕上がりまでの時間、手間が掛かるという事になります。

 

ただ、こういった繊維を布にするまでの工程を、

一気にすっ飛ばして布からモノを作るにしても、

 

 

どこかしらで、

 

 

「どういう風に自分らしさが出せるか?」

 

工夫したい欲求にかられることがあるものです。

 

どこかしらでこだわりたくなるのであれば、

 

「最初を探求してもいいのではないか?」

 

 

この考え方が、ある意味

大基を考えたい、torinikucoffee的な探求の仕方なのかもしれません。

 


それでは、実際に糸車が家にあると仮定して、

 

①の綿状の繊維は、どこで手に入るでしょう?

 

私が、手紡ぎの木綿糸を作る体験をさせて頂いた施設では、

 

 

「布団の打ち直しを行ってもらえる布団屋さんで、

 きちんと整えられた綿を購入すると良いですよ」

 

という、貴重な情報を教えて頂きました。

 

糸を作るにしても、

素材を、糸に作りやすい状態にしなければ、作り上げることは

なかなか大変だという事です。(大切なことですよね)

 

その、

 

「しなければならない」を、

手間と考えるか、手作りと考えるか

これも、人それぞれです。

 

 

「手間」と考えたい人は、

どんどん工程を省いていけば良いし、

 

「手作り」と考えたい人は、どんどん工程を手で行えばいい

それだけの話です。

 

 

実にシンプルな話です。

 

この二つの方向性で、自分にとって程よい加減(いいかげん)

考えていくこと。

 

それを見出した上で、

①、②のどちらを選びたいかも、決まってくると思います。

 


具体的に言いますと、

 

 

私の私見ですが、①の方が、糸を作る工程は少ないと思っています。

 

 

工程が少ないと、手間が減る分、

進みが早いかというと、そうでもないのです。

 

工程が少ないと、それを補うための、

 

「技術‼」

 

これが求められるようです。

 

私個人の考え方(あと、経験不足も多分にあります…)

なので、人によって個人差が生じると思いますが、

 

 

 

②は、あらかじめ、自分の好みの太さに糸を績んで(うんで)いくため、

その後は、

糸車を無心で廻していけば出来ます。(ある程度の時間は掛かっています。)

 

始めに糸の太さを決めて績んでいるために、細い糸は細く、太い糸は太く作ることが出来ます。
始めに糸の太さを決めて績んでいるために、細い糸は細く、太い糸は太く作ることが出来ます。

対して、

 

 

①は、撚りが掛かりやすいけれども、

太さの定まっていない、

綿から糸を作らなければなりません。

 

その為、自分好みの太さを見極めることが、

なかなか出来ないのです。(糸車にはもっと時間が掛かっています。)

 

綿から少しずつ引き出しながら績んでいるために、一本の糸でも、所々太さがまちまちです。
綿から少しずつ引き出しながら績んでいるために、一本の糸でも、所々太さがまちまちです。

そこで、

 

「技術‼」

 

 

これが、求められるようです。

 

…皆さんは、どちらを追求したいでしょうか?

 

 

 

(それも自由ですよね)

 


②手紡ぎの苧麻の糸の紡ぎ方

左上から時計回りに、(赤いボックスに入った)苧麻の糸を細長く裂いてつなぎ合わせたもの、糸車、座布団、(タオルの上にのっているのは)、糸車を廻すための紐、苧殻、ツム、そして真ん中にあるのは、おはじきの入った洗面器です。苧麻の糸は濡らして紡ぐので、ビニール風呂敷を下に敷きます。
左上から時計回りに、(赤いボックスに入った)苧麻の糸を細長く裂いてつなぎ合わせたもの、糸車、座布団、(タオルの上にのっているのは)糸車を廻すための紐、苧殻、ツム、そして真ん中にあるのは、おはじきの入った洗面器です。苧麻の糸は濡らして紡ぐので、ビニール風呂敷を下に敷きます。

①細長く裂いてつなぎ合わせた苧麻を、洗面器に逆さまになるように空ける。

つなぎ合わせる際、苧麻の始めの所に、前もって別糸で印を結んでおくと、始めが判り易い。

②糸が丈夫になるように、水を加える。ある程度、湿気を帯びたら余分な水は流しておく。

③つなぎ合わせの始めの糸を取り出し、糸の絡まり防止のためのおはじきを、まんべんなく苧麻の上に撒く。


④糸車を廻すための紐を糸車全体にに廻しかける。

⑤糸車に廻した状態をキープしながら、下側の紐が手前に来るように、紐をクロスさせる。

その状態で、ツムを糸車の先端へ通していく。

⑥苧麻の、つなぎ合わせの始めの糸の別糸を取り外し、奥から手前へと、手でツムに巻いていく。

その状態で糸車を廻すと、糸はツムの先端へ自動的に移動する。


⑦ここで、(今まで紹介していないのですが、)画像のような管をツムにすっぽりと通していく。

そのまま管と糸をツムから取り出すと、自然と管に糸が通っている。

⑧ツムに苧殻を差し込み、紡いだ糸の始めを苧殻に巻きつける。

今までの工程を、遠景で見ると、一番下の画像のようになる。

⑨糸を通した管を、足の親指と人差し指に挟み、糸車を廻す。

管を左側へ移動させると自然と、糸はツムの先端へスライドしていく。

糸をそのままツムの先端へキープしたまま、糸車を廻す。


⑩糸に適度な撚りが掛かったら、廻していた糸車をストップさせる。

ほんの少し、糸車を反転させると、糸にゆとりが出来、

足に挟んでいた管を右に移動させると、苧殻の上に糸が移動する。

 

⑪糸が苧殻の上に移動した状態のまま、糸車を通常の通りに廻していく。

左手が管のギリギリまで行くように、撚りのかかった糸を苧殻に巻き取る。

⑫糸車を廻しながら、足の管を左に移動させる。

自然と糸がツムの先端へ移動される。


⑬糸がツムの先端にある状態のまま、左手を少しずつ管より遠いところへ移動させる。

これを遅らせると、糸に無駄な撚りが掛かりすぎて、糸にだまが

出来てしまう。

 

⑭ ⑨~⑬をひたすら繰り返すときに、苧殻に巻きつける糸は、画像のような形を心掛ける。

糸のテンションも緩みのない巻きつけを心掛ける。

 

⑮紡ぐ糸が最終段階に来たら、なるべく撚りを維持するために、左手で糸をつかみながら苧殻に糸を巻き付ける。

なるべく撚りを維持しながら、管から糸を外していく。


⑯無事に、撚りをかけることが出来た。

⑰最後の糸は、苧殻に引っ掛けて、すぐに糸が取り出せるようにすると効率的。

⑱紡いだ糸は乾燥防止のために、タオルでくるんでおく。

逆に、使用後のおはじきは、干すためにタオルの上に置いておく。


⑲紡いだ糸を乾燥させるため、座繰りで四つ枠に巻いていく。

麻糸は紡ぐときに濡らして紡ぐので、そのまま苧殻に巻き取ったままだとカビが発生することがある。

糸の表面積を大きくして、カビるのを防ぐ。

⑳無事に四つ枠に糸を巻き終えたら、なるべく風通しの良いところで、糸を乾燥させる。


上の画像の管。

これは、糸車を使う人で、

使用する人、使用しない人が分かれるようです。

 

 

 

たしかに、糸の撚りのかかり方を、

手の程よい加減、

 

(いいかげん)

 

で見極めるのと、

 

管で包まれ、足の指で糸の方向を微調整する

 

(加減の判らないまま)

 

で見極めるののとは、

 

 

 

 

糸の状態が判り易いかにおいて、差が出ると思います。

 

 

ここで、私が思うのは、やはりそこに、

 

「技術が必要か?」

 

 

 

これなのではと思います。

 

 

前もって、糸を績んでいる糸であれば、

その時点で自然と糸の整え方がなされているため、

撚りをかけるときの糸の状態の見極めを甘くして、

どんどんと撚りかけをすることが出来ます。

 

 

 

管を使って糸を左右に動かすと、微調整もし易く、撚りかけの効率も良いです。

(慣れるのに時間は掛かりますが…) (未だに戸惑う事ばかりです)

しかし、綿状の物を糸にするとなりますと、

 

 

撚りかけの際に、

 

「本当に綿から適度な量だけ取り出せているのか?」

 

ここに一度しっかりと、気持ちを集中しなければいけません。

 

ですから、効率を求めるよりも、

 

程よい「いいかげん」を

見極める事の方が優先されます。

 

 

この場合は管を使っての効率を求める以前に、

「技術的な見極めを、しっかりと考える」

 

このように、一本の糸ではありますが、

糸一つ取ってみても、

 

 

「手間、暇」は、

 

様々なことを考えさせてくれるものです。

 

 どちらを選んでも、

 やはり、その人の、自由ですよね。


③糸の紡ぎ方の左手の動き

「撚り」のかかり方が判り易いように、ビニール紐を撚りかけしてみました。

「②手紡ぎの苧麻の糸の紡ぎ方」

の、⑥から⑧を行った後、

左手は、糸を通した管の近くに

あるのが判る。

ツムの先端に糸があり、

右手で糸車を廻すにつれて、

左手が、管から離れていくのが判る。

管から離さないと、糸に撚りが

掛かりすぎて、

団子状のキンクのようなものが出来てしまう。

糸に団子状の物が出来ないように、

左手はドンドン管から離れていく。

この間、右手は糸車を廻し続けている。


更に左手を管からドンドン離していき、

左斜め後ろに伸ばせるだけ

左手を伸ばす。

この間も、右手は糸車を廻し続けている。

「②手紡ぎの苧麻の糸の紡ぎ方」

の、⑩と⑪を行っているところ。

ここでは、左手は手で持っている糸を、しっかりとつかみ、

絶対につかんだ糸をずらさない。

⑤で、糸を苧殻の上に乗せたら、

再び右手で糸車を廻し始める。

この間も、左手は手で持っている糸を、しっかりとつかみ、

絶対につかんだ糸をずらさない。

 

苧殻に巻き取られているため、

左手は自動的に、

管に近づいていく。


左手が管の近くに行くまで、

右手で糸車を廻して、

苧殻に糸を巻き取っていく。

 

この間も、左手は手で持っている糸をしっかりとつかみ、

絶対につかんだ糸をずらさない。

左手が管の近くに行くまで巻き取った苧殻。

 

この後、

「②手紡ぎの苧麻の糸の紡ぎ方」

の⑫を行う。

 

この間も、左手はずらさない。

右手はずっと、糸車を廻し続けている。

「②手紡ぎの苧麻の糸の紡ぎ方」

の⑫を行った後、

糸は、ツムの先端へ移動している。

 

ツムの先端へ移動した後は、

糸に団子状の物が出来ないように、

ドンドン左手を管から離していく。


①~⑨までを二回行った苧殻。

ここで一旦糸を切ってみた。

 

 

 

苧殻から糸をほどいて、

四つ畳みにしてみると、

大体75㎝。

 

私の身長の半分くらいになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

両手をめいいっぱい広げると、

大体身長位になりますが、

 

糸車を廻すときの左手も

精一杯斜め後ろに伸ばすと、

 

一回の工程で、

 

大体身長位の長さ

撚りかけが出来ることになります。

 

 



こうしてみますと、

右手と左手のそれぞれの動きの違いが判るかと思います。

 

ポイントは、

 

糸がツムの先か、苧殻の上にあるか

 

です。

 

 

【左手の動き】

ツムの先にある時は、左手はスライドしながらドンドン足の管から離れていきます。

苧殻の上にある時は、左手は動かさずに巻き取りながら足の管に近づいていきます。

 

【右手の動き】

基本的にずっと手前から後ろに廻し続けますが、

ツムの先から、苧殻の上に糸を移動させる時だけ、

少しだけ逆に回して糸を緩めてから苧殻の上に移動させていきます。

 

 

 

右手の糸車を逆に回すのは、大体このくらいです。

 



左の画像を見た後で、右の画像を見て頂けると、

ホントにほんの少しの角度なのが、お判り頂けると思います。

このページの一番上のS字の画像とは逆回りで、かつその角度はほんの僅かです。
このページの一番上のS字の画像とは逆回りで、かつその角度はほんの僅かです。