私が、生まれて始めて編んだのは、ガーター編みのマフラーでした。
表側も、裏側も、表目の編み方で編んでいけばいいのですが、
目を飛ばしてしまったり、糸の引っ張る強さが、だんだん変わって、
両端が凸凹になって、編み直したりと、
なかなか進められなかったことを覚えています。
少しずつ編み慣れていったのはいいのですが、
どこまで編んでいけば良いのか、全く判らず、
とりあえず、身長位まで編んでみました。(当時10才位)(100㎝位?)
すごく長い時間を掛けて編み上げ、使い始めると…
首に巻き付けたマフラーの端の個所から、
マフラー自身の重みでどんどん伸びていき、
最終的には、伸びすぎで首に巻いてもバランスが取れず(長すぎ)
結局、解いて編みなおす事となってしまいました。
「編む」だけではなく、日々の生活用品として、
「使い勝手」
という事を意識し始めたのは、このマフラーが
「始めて」だったと思います。
今でもなかなか、
思い通りに「ものづくり」が、出来ない私ですので、
生まれて始めての編み物は、
「兎に角、先に進まない!」
そういうものでした。
それでも少しずつ編み進んでいき、やっと身長位まで編めたのに…
それが、
「編みすぎだった…」
こういう事は、日常生活どんなに経験しても、
良くあることです。
無暗に作るだけではなく、時に立ち止まって、
作ったモノの、利用範囲を程よく見る事、
それを、じっくり一つのモノに対して考える人もいれば、
たくさん作って、少しずつ自分の糧としていく人もいると思います。
どちらを選ぶかは、その人の性質や性格etc.で、人それぞれですが、
掛ける時間を、気長に吟味出来る、
そのような日々を送りたいと願っています
(完全に理想のみの世界ですね・・・)
今回、100円ショップで購入した毛糸を使って、
カフス編みをしていきましたが、
カフスも無事に編み終わり、次に
足の甲や、足裏(土踏まずの辺り)へ突入する。
ここに来てふと、今までの様々な経験が思い返されてきました。
よくよく考えれば、足首のカフスの部分は、温めたいところです。
ですから、100円ショップのウール100%の並太の毛糸でもOKでした。
しかし、足首から下は…?
思い返してみると、スリッパや草履、サンダルや靴…
様々な履物で覆われる部位なだけに、
ある意味使い勝手としては、厚みを必要としないところです。
そこで、ここで思い切って糸を変えることにしました。
(結局、ここで糸切りました)
そして、アンクルより下の足の部分って、肌触りの敏感な部分だと思いませんか?
(リフレクソロジーや足つぼなどありますし…)
ですから、糸をウール100%からアンゴラ混紡の、今までより細い糸に変えてみました。
アンゴラは、山羊(モヘヤ)の方ではなく、ラビットの獣毛が含まれた毛糸です。
ウール100%より、柔らかく、繊維が長いので、
チクチク感のない、光沢のある、手触りと肌触りの良さや、ぬめり間が特徴の獣毛繊維です。
しかも、こちらの毛糸も草木染の糸です。
カフスの糸の色に合わせて、二色使いましたが、
一つは、毎年育てている、タデ藍の生葉染めです。
そして、もう一つは…こちらの植物です。
今、私の住んでいるところは、関東です。
通常、西高東低の冬型の気圧配置になっており、
日本海側に比べて、積雪の少ない地域です。
それでも、冬の寒さが和らぎ、春に近づくにつれ、
ある一定の時期、気圧配置が逆転することがあります。
東高西低とでも申しましょうか…。
そのころ、春の前に雪が積もった時、
これが、ある意味、草木の染め時でもあります。
ビワの木ですが、
日常、雪に降り積もられることの少ない木ですので、
雪の重みに耐えきれず、多くの枝が折れています。
そして、案外皆さん見落としがちかもしれませんが、
草木も生き物です。
花をつけ、実をならせるという事は、
植物にとって、とても体力(草力)を使うものなのです。
ですので、
同じ草木でも、花や実をつける前、つけた直後では、
植物に含まれている活力が違います。
体力を使う前、つまり、冬の植物が休んでいる時期、
この方が、色鮮やかに染まってくれます。
雪の重みに耐えきれなかった枝々でも、
このように、鮮やかに染まってくれる、
それだけでも、細やかではありますが、嬉しいものです。
そして、更に、
使う糸がかなり細くなりましたので、
使用する棒針もかなり細くしてみました。
兎に角、足首より下は足にフィットさせたい。
そのためにも、編地を詰まらせて、糸のテンションを上げていきたい。
それには、針を細くすることが効果的です。
因みに、休ませていた目を作るときは
の作り方を参考になさってください。《5》
カフスに比べて、足首より下の部分が
かなり細くなっているのが判ります。
それでも、履いた時の脚のフィット感を考えますと、
この細さで、編んで行ってよかったなと、改めて思いました。
全て編み終わり、糸始末をした後は
中性洗剤で洗い、網目を整えて仕上げて、
完成です。